経理改善お役立ちコラム

経理でコンプライアンス違反が起きる理由は?会社が取るべき予防策

経理担当者のコンプライアンス意識が欠如すると、業務上横領や粉飾決算、情報漏洩などが起きてしまうかもしれません。このような事態が起きれば、知らないうちに会社の資金繰りが急激に悪化したり、会社の信頼が失墜したりするリスクがあります。

では、経理でコンプライアンス違反が起きる原因としては、どのようなものが考えられるでしょうか?また、経理でのコンプライアンス違反を防ぐため、会社はどのような対策を講じれば良いのでしょうか?

今回は、経理がコンプライアンス違反をした場合のリスクのほか、コンプライアンス違反が起きる理由や予防策などについて詳しく解説します。

コンプライアンスとは

コンプライアンスは、「法令遵守」と訳されることが少なくありません。
しかし、実際にはこれより広く、法令のほか社会規範や企業倫理の遵守までを意味する場合が多いでしょう。

経理でコンプライアンス違反が生じると何が起きる?

経理は、給与などの機密情報や企業の金銭を取り扱います。
そのような経理でコンプライアンス違反が起きると、次のような事態が生じる可能性があります。

  1. 業務上横領
  2. 粉飾決算
  3. 脱税
  4. 情報漏洩

業務上横領

業務上横領とは、会社のお金を不正に着服する行為です。

たとえば、会社の金庫内にある現金を不正に持ち出すほか、会社の銀行口座から預金を不正に引き出したり、自分の関係先へ振り込んだりすることなどが横領の代表例として挙げられます。

他にも、取引先と共謀して過大な請求書を発行させて見返りにキックバックを受けるなど、巧妙な手口が取られる場合もあります。

粉飾決算

粉飾決算とは、不正に利益を操作して実態とは異なる決算書を作り出す行為です。

一般的には、決算書を実際よりもよく見せかけることを指す場合が多いでしょう。また、横領を隠す目的で粉飾決算に手を染める場合も少なくありません。

粉飾決算には、架空の売上を計上する行為や他社と共謀して実体のない取引を書類上のみで循環させる行為など、さまざまな手法が存在します。

脱税

脱税とは、税金を過少に申告し、本来であれば納めるべき税金の支払いを不正に逃れる行為です。粉飾決算とは反対に、会社の業績を実際よりも悪く見せかけようとします。

脱税のパターンはさまざまですが、売上を除外したり当期に計上すべき売上を来期に回したりすることなどが挙げられます。

情報漏洩

経理担当者のコンプライアンス意識が低いと、機密情報が漏洩するリスクが生じます。

たとえば、経理が職務上知り得た役員給与や会社の業績にまつわる情報などを、飲み会の場で気軽に話してしまうことなどが挙げられるでしょう。また、社外への持ち出しを禁じているデータを無断で持ち出し、紛失によって情報が漏洩する可能性もあります。

経理でコンプライアンス違反があった場合に生じるリスク

経理でコンプライアンス違反が生じた場合、会社にどのような損害が及ぶ可能性があるのでしょうか?
考えられる主なリスクは次のとおりです。

  1. 損害賠償請求の対象となる
  2. 追徴課税の対象となる
  3. 企業の信頼が失墜する
  4. 倒産に追い込まれる

損害賠償請求の対象となる

コンプライアンス意識の欠如から経理担当者が不祥事を起こした場合、これにより損害を被った株主や社外の関係者から、会社に対して損害賠償請求がなされる可能性があります。

会社が積極的に不正に関与していた場合はもちろん、たとえ経理担当者が独断で行ったことであっても、会社が管理を怠った責任や不正を抑止する内部統制システムの構築を怠った責任が問われる可能性が否定できません。

追徴課税の対象となる

コンプライアンス違反によって脱税をした場合には、追徴課税の対象となる可能性があります。

追徴課税とは、税務調査で税金の過少申告を指摘された場合において必要となる、追加での納税です。原則として、本来納めるべきであった税金との差額のほか、ペナルティとしての「過少申告加算税」と利息に相当する「延滞税」を納めなければなりません。

また、悪質であると判断された場合には、過少申告加算税の代わりにさらに重い「重加算税」の対象となる可能性もあります。

企業の信頼が失墜する

たとえ経理担当者が独断で起こした不祥事であっても、会社の信頼が失墜する可能性があります。
なぜなら、不祥事が起きる以上、会社の内部統制が取れていないと見られる可能性が高いためです。

倒産に追い込まれる

最悪の場合には、経理が起こしたコンプライアンス違反によって会社が倒産に追い込まれる可能性があります。

たとえば、経理担当者が多額の横領を繰り返して会社の実際の資金が非常に少なくなっているものの、決算書が粉飾されていたためにこれに気付くのが遅れた場合などが挙げられます。

経営者が決算書上の数字を信じて通帳の管理などを経理担当者に任せていた場合には、資金繰りが立ち行かなくなって初めて横領や粉飾に気付く場合もあるでしょう。

この段階から金融機関へ融資を申し込んでも融資が受けられる見込みは低く、倒産してしまう可能性があります。

経理でコンプライアンス違反が起きる主な理由

ほとんどの経理担当者は、真面目に業務の取り組んでいることでしょう。では、経理でコンプライアンス違反が起きる主な原因としては、どのようなものが考えられるのでしょうか?
コンプライアンス違反が起きる主な原因は次のとおりです。

  1. 知識不足で違反に気付いていないから
  2. 業務に強いプレッシャーがあったから
  3. 内部統制に不備があるから
  4. 過去に不正をしてもバレなかったから

知識不足で違反に気付いていないから

経理担当者に悪意はないものの、知識不足からコンプライアンス違反が生じてしまう可能性があります。

経理担当者が正しく経理業務を処理するためには、高い専門性が必要です。そのため、知識を再確認したりブラッシュアップしたりする機会を設けることが不可欠でしょう。

業務に強いプレッシャーがあったから

業務への強いプレッシャーから、コンプライアンス違反に及んでしまう場合があります。

たとえば、経営者から利益の額や納税額などについて強いプレッシャーを掛けられた結果、これに応えるために粉飾や脱税に手を染めてしまう場合などが考えられるでしょう。

内部統制に不備があるから

内部統制システムに不備があると、経理のコンプライアンス違反が発生しやすくなります。

内部統制システムとは、企業の不祥事を抑止するための社内体制です。経理など会社の重要な情報や金銭を扱う部署は不祥事が起きやすい傾向にあるうえ、不祥事が起きた際に会社へ及ぶ影響も小さくありません。

そのため、本来は経理をチーム制として、属人化やブラックボックス化を避ける必要があるでしょう。このような体制が整っていない企業は横領などがしやすい状態といえ、コンプライアンス違反が起きる可能性が高くなります。

過去に不正をしてもバレなかったから

横領などのコンプライアンス違反が思いのほか簡単にできてしまい、さらにその後発覚しなかったことで、さらに大きな不正に手を染める場合があります。

たとえば、初めは会社の金庫から「数日だけ借りるつもり」などで少額の金銭を持ち出したものの、これが発覚しなかったことで、返却するどころかさらに多額の横領を繰り返すケースなどが考えられます。

また、横領をすると実際の現預金残高と帳簿上の現預金残高に差が生じます。これをごまかすために、たとえば売上を除外したり架空の経費を計上したりして、さらに粉飾決算や脱税などに手を染める場合もあるでしょう。

このように、経理で一度コンプライアンス違反が起きると、これを隠すために不正を重ねる悪循環に陥り、被害が拡大するおそれがあります。

経理のコンプライアンス違反を予防するための対策

経理のコンプライアンス違反を予防するため、会社はどのような対策を講じれば良いのでしょうか?
会社が講じるべき主な対策は次のとおりです。

  1. コンプライアンス研修を実施する
  2. 内部統制システムを構築する
  3. 経理業務をアウトソーシングする

コンプライアンス研修を実施する

1つ目は、コンプライアンス研修を実施することです。

たとえば、横領に手を染めて逮捕された事例や、機密情報を漏洩させて損害賠償請求の対象となった事例などを詳しく解説して事の重大さを伝えることで、安易な不正を抑止する効果が期待できます。

また、コンプライアンス研修を行うこと事態が不祥事を見逃さないとのメッセージともなり、この点からも不祥事の抑止となるでしょう。

内部統制システムを構築する

経理の不祥事は、業務の属人化やブラックボックス化が原因で起きることが少なくありません。そのため、相互に監視する内部統制システムを構築することが、コンプライアンス違反を予防する対策となります。

たとえば、金銭の出し入れや振り込みについてダブルチェックを徹底する体制を整えることなどがこれに該当します。また、会社の小口現金を廃止したり、現金を即座に入金することをルール化したりすることなども一つの手でしょう。

そもそも不正行為をするハードルが高ければ、不祥事が起きる可能性を大きく引き下げることが可能となります。

併せて、仮にコンプライアンス違反が生じた際にすぐに発覚する仕組みを構築することも重要です。たとえば、経営陣が定期的に通帳や帳簿をチェックして不審な点がないか確認をしたり、内部通報窓口を設けたりすることなどが考えられます。

経理業務をアウトソーシングする

内部統制システムの徹底が望ましいとはいえ、人員や資金に限りのある中小企業でこれを徹底することは、容易ではないでしょう。そのような企業におすすめの対策が経理機能のアウトソーシング(外注)です。

経理機能をアウトソーシングすることにはメリットが少なくありません。
主なメリットは、次のとおりです。
● コンプライアンス違反による不祥事を避けられる
● 業務の繁閑に対応しやすい
● 高品質な経理を実現できる
● コストを削減できる可能性がある

● コンプライアンス違反による不祥事を避けられる
経理機能をプロにアウトソーシングすることで、コンプライアンス違反による不祥事を避けることが可能となります。

● 業務の繁閑に対応しやすい
経理業務は年間を通じて標準化しづらく、決算期に業務量が増大するなど、繁閑の差があることが一般的です。
しかし、繁忙期に備えて余剰な人員を雇用し続けることは、現実的ではないでしょう。その結果、繁忙期に経理担当者へ過剰な業務負担がかかることが少なくありません。

一方、経理機能をアウトソーシングした場合には、業務の繁閑に対応しやすくなります。

● 高品質な経理を実現できる
経理担当者には、高いスキルや高い倫理観が求められます。しかし、そのような人材は引く手あまたであり、採用のハードルは低くないでしょう。

一方、経理機能をアウトソーシングした場合には、自社で人員を雇用することなく高品質な経理が実現できます。

● コストを削減できる可能性がある
経理機能をアウトソーシングするには、高額な費用がかかると考えている方も少なくないようです。しかし、依頼先や依頼内容によるものの、自社で経理担当者を雇用するよりも低いコストで導入できることが少なくありません。

費用を理由に選択肢から除外している場合には、まずは見積もりを取ってみることをおすすめします。

まとめ

経理でコンプライアンス違反が起きると、会社の信頼が大きく失墜しかねないほか、資金繰りの悪化に気付くのが遅れて手遅れとなるリスクがあります。

経理で不祥事が起きる原因はさまざまですが、ダブルチェック体制を整えるなど内部統制システムを構築することで防げることも少なくありません。企業としては、できるだけコンプライアンス違反が起こりづらい環境を構築することが不可欠でしょう。

しかし、人員や資金に限りのある中小企業にとって、コンプライアンス違反を抑止できるレベルの内部統制システムの構築はハードルが高いと感じるかもしれません。そのような企業におすすめなのが経理機能のアウトソーシングです。

経理機能をアウトソーシングすることでコンプライアンス違反を抑止できるほか、高品質な経理の実現が可能となります。

当社「TOKYO経理サポート」は、経理機能をまるごとアウトソーシングできる「Smartおまかせ経理」を展開しています。

英和税理士法人が母体となって運営しており、高品質な経理業務をリーズナブルな価格で提供しています。

経理のアウトソーシングをご検討の企業様は、TOKYO経理サポートまでお気軽にお問い合わせください。アウトソーシングの導入に関するご相談やお見積りは無料です。

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